2024/05/18 14:23


青空レストランとか、YouTubeで見る農家メシとか漁師メシとか、簡単そうに手際よく料理になっていく様子が面白くてよく見ます。しかも美味しそう。

そのたびに疑問がわきます。「なぜ料理の本はどれも難しく感じて味も普通なのか?」
私の手際が悪く、料理下手なせいなのですが解せない問題の1つです。

手間ひまかけて愛情かけて作る料理も素晴らしいですが、ちょっと手抜きしながら美味しい料理が食べたい日だってあっていいじゃないですか。というか簡単で美味しい料理が作りたいのが本音ですが、時短料理になぜか湧く罪悪感。

以前SNSで話題の時短レシピを真似したら、調味料の味がするだけで野菜の旨みが感じられないとか、歯ごたえが感じられないとか。微妙な料理になってしまったんです。もちろん立派な料理です。忙しい人には助かります。でも、もう少しクオリティの高い料理を簡単に作りたいと思ってしまうのです。

「味が微妙なのは使ってる野菜の問題か?」と気づいたのはしばらく経ってからでした。

当時住んでいた近くのスーパーの野菜は、安くないのに味がしなくて、すぐ傷みました。
近くに八百屋もなかったし、野菜の定期便も1人では食べきれない量でした。道の駅にわざわざ行くのも腰が重く、諦めに近い気持ちでいました。
それに毎日賑わっているスーパーなのでそういうもんかと思っていましたが、ある日レストランの店先で野菜を販売していて、そこで試しに買ってから考えが変わりました。スーパーより安くて新鮮で美味しい野菜でした。もちろんなかなか傷みません。このレストランでは、この野菜が料理として出されるのか、、美味しいはずです。

「じゃあレストランの野菜は新鮮なのに、(私が通っていた)スーパーの野菜はそうではないのか?」

その疑問が明らかになったのは、清水青果で働くようになってからです。
全部が全部、そうではありませんが、大手スーパーは大量の野菜を仕入れます。
契約農家さんたちは納品に向けて収穫するのですが、納品する数は絶対にクリアしなければなりません。そうすると、100%納得できない野菜でも、納品しなければならないのです。
また、大量に仕入れた野菜は売り場に出したらすぐに完売するようであれば問題ないのですが、売れ残った野菜はバックヤードにも残ります。サイクルの悪くなった野菜がスーパーに残り続けるのです。
収穫後、野菜はどんどん老化します。それを知らず知らずのうちに買い物かごに入れ、それが食卓に並びます。それって、社会の裏側が見えた気がして少し怖く、悲しいことです。

清水青果では数日前に収穫された野菜やサイクルの短い新鮮な野菜を、昼までに飲食店へお届けしています。
市場には代表の清水が毎朝足を運んで、新鮮な野菜を仕入れています。
お取引いただいている農家さんにも野菜をいただきに直接車を走らせています。
それってすごく簡単そうですが、移動距離もさることながら結構体にダメージがあります。
農家さんに体の心配をされるほどですが
「美味しくないものは売りたくない」という頑固な清水のポリシーです。
そのため天候不良などによる不作の時やイマイチな出来が悪い野菜は仕入れません。

清水青果で働くスタッフはよく野菜を買って帰ります。
新鮮だから、シンプルな味付けで簡単に美味しい料理ができるから。
今までは飲食店への卸がメインでしたが、これからは一般のお客様への販売を広げていきたいと思っています。
清水青果のこれからに、どうぞご期待ください。